『蜘蛛の巣の乙女たち』創作日記~彼女たちは本当に蘇生しているのか

『蜘蛛の巣の乙女たち』(カクヨムの作品ページに飛びます)


カクヨムコン、お疲れさまでした。

「小説家になろう」とはまた違った小説投稿サイトなのですが、なんといっても電撃大賞やスニーカー大賞、またラノベ以外でもホラー大賞などの応募に利用できるところが強みですよね。

大賞応募が目的でしたら、ランキング上位でないといけないわけではなくて、完成度が高く、角川が欲しい作品だったら低ポイントでも最終選考に残っていたりしますので、アクセス数を増やすには…ということを考えなくていいところは利点かもしれません。


しかし、カクヨムのお祭り的なイベントであるカクヨムコンや、その他のコンテンストに関しては、読者選考というものがあります。

こちらはやはり読者からの星の数がモノを言う世界ですので、宣伝をガンガンしてみたり、タイトルやキーワード、あらすじ、出だしなどで大衆の関心をうまく掴まねば、見込みが薄いということもあります。

私はと言うと、こういうのがすごく苦手みたいで、去年も結局ガンガン宣伝できない&大衆の関心を掴めないまま終わってしまいました。

今年もそうかなぁってところはあるので、本命として見据えているのはその後に応募を受け付けるだろう大賞の方だったりします。

いつだったかな、スニーカー大賞の久しぶりの大賞作品がカクヨムコン読者選考落ちの作品だったって事があったそうなんですよね。

マジかぁ…ってなった人も多いはず。でも、同時に、ああいう大賞ってちゃんと選考してくれるんだなぁって思ったのも確か。

というわけで、軽い気持ちで構えています。


とはいえね、この『蜘蛛の巣の乙女たち』は評価を頂いたり、感想を頂いたり、色んな人に応援してもらった作品でもあります。

その応援があったからこそ、投稿していて楽しかったっていうのもありますし、感謝してもしきれない。目を通してくださった方々、本当にありがとうございました。……て、ここで言っても伝わらないか……。

読者選考が終わって結果が出た時に、ちゃんとTwitterなりで呟こうと思います。


すいません、前置きがすっかり長くなってしまいましたね。

今回はこの作品に登場する主人公を含む機械乙女たちについてお話しようと思います。

主人公の空蝉は、一度事故死し、機械人形として蘇生した人物です。

社会復帰のために同じ境遇の姉妹たちと集団生活をする中、試験と称された事件が起こるという内容なのですが、恐らく読んでくださった方の中には、こういう疑問が生まれたんじゃないでしょうか。

この人たちって、本当に生前の人と同一と言えるのかな。

魂の移植というのも物は言いようって感じで、要するに彼女らが受けたのは、記憶をデータ化し、それを機械の体に移植しているって感じなんですよね。

『攻殻機動隊』みたいに、せめて脳自体を移植していれば蘇生と言えるのかもしれませんが、実はこの子たちはそうではないのです。

完全に初期化してしまい、生前の記憶を失えば、彼女らはただの良くできたロボットでしかない。思考パターンも、気持ちも、人工知能によるもの。

それって蘇生って言えるのかなっていう。

まあ、つまり『鉄腕アトム』みたいな感じかな。アトムは死んだ息子の代わりにはなれなかった。

あと、これは二次創作なのですが、昔、『アンパンマン』の入れ替わったあとの顔の真実みたいな漫画がめちゃくちゃ印象に残っていて、それにも近いものがあるかもしれない。

萩尾望都の『A‐A´』でも、こちらはクローンですが、似たようなテーマが含まれている短編ありましたね。

こういう作品たちの影響を受けて、紡いだのがこの『蜘蛛の巣の乙女たち』でした。


魂が同じであるという証明が出来ない以上、空蝉を含む機械乙女たちはひょっとしたら、蘇生できたとは言えない存在かも知れない。

生身の人間のような人権は認められていないし、バグもあるし、そのために警戒して生身の人間は近づけないってことになっているし。

それでも、空蝉には自分たちが幸せになる権利があると信じています。いつかこの施設を出て、人間として社会復帰するために、生活を続けています。

この作品では大きく余白を残しております。空蝉たちのその後とか、真犯人のその後とか……その理由は、先の応募の文字数規定を考えての事でもあるのですが、余白を残すことで後にまた続きとか色々書けたらいいなぁって思っているからだったりします。

ですので、また何かしら短編とか上げる際は、楽しんでいただけたら幸いです。


というわけで、今回は『蜘蛛の巣の乙女たち』の機械乙女たちについてのお話でした。

あ、そうそう。これは蛇足なのですが、このタイトルって実は、今連載をしている擬人化百合小説の『その名は銀花』(小説家になろうの作品ページに飛びます)の仮タイトルだったんですよね。

で、こちらの作品はもっと違うタイトルで、キャラ名も違いました。黒百合とか、そういう名前のキャラがいた気がします。蛍ちゃんの元キャラだったかな。

それと、人狼ゲームをベースにした作品っていうのも、mixi人狼にハマった頃から書きたい…というか書きかけで断念した過去があったので、こういう形で完成させることが出来て本当によかったです。

人狼ゲームとしては、占いや霊能もないし、人狼は一匹だし、狂人とかいないし、ちょっと物足りないかもしれませんが…。

ともあれ、お好きなタイミングで楽しんでいただけたら幸いです。

三毛猫日和

気付いたら明日になっている。