第11回 『治療の儀式の起源‐ホワイト・マウンテン・アパッチ族』
これもまた儀式の起源に関するお話でした。
前回までシャイアン族のお話が続きましたが、今回はアパッチ族のお話。〈大地を創った者〉という創造主が登場し、人々に治療の儀式や知識を授けるという内容です。
誰かが病気になった時に祈祷で助けようとした起源なのでしょうが、しっかりと病気には原因があることを授けているあたり、現実的な部分もちゃんとあるなと思いました。
原因が分かれば儀式は必要なくない?
そんな感想も読んでいて浮かんだりしたのですが、よくよく考えてみればそれって合格祈願とか健康祈願などとそう変わらないのかもしれませんね。
プラシーボ効果とも少しだけ関連するのかもしれませんが、薬や治療に出来ることは限られていて、最後の望みは病気になった本人の生命力や気力だったりします。
そればかりは人々の力ではどうしようもないため、せめてもの想いを歌という儀式に託したということなのかなと感じました。
とても短いお話だったのですが、現代にも続くゲン担ぎや占い、おみくじを頼りたくなる精神を思い出して、深く考えるとなかなか面白かったです。
◆今回のメモ
・〈大地を創った者〉
アパッチ族における創造主らしい。
最初に住処となる大地を人々に作ったのだけれど、人々が気に入らなかったので新しい大地を作ってくれたりする。優しい。
『アメリカ先住民の神話伝説』(R.アードス、A.オルティス編 松浦俊輔、西脇和子、岡崎晴美ほか訳 1997 青土社)
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