第13回 得意不得意を補い合う関係『男と女が一緒になったいきさつ‐ブラッド・ピーガン族』
男女の違いというものは、2020年の現在でもたびたび注目されるテーマだと思います。
何事にもイレギュラー的な存在はいるもので、自分がたまたまそのイレギュラーの枠に入ってしまったときの心細さはとても大きなものだったりしますよね、この何とも言えない苦しみは、男女問わずどちらも抱くことでしょう。
それはともかく、古来の人々は今よりもさらにジェンダーというものに縛られていたのだろうと想像してしまったのがこのお話でした。
北ピーガン族はブラックフット族の一部であるそうです。
南ピーガン族もいるのですが、ブラッドと記されていることから、ブラックフット族にまとめられている北ピーガン族だと思います。
お話の内容は、かつて男と女で別れて暮らしていた人々が、一緒に暮らすようになるまでというものです。
その時代、男は狩りが得意なので美味しい食べ物を得ることが出来た代わりに、衣服や素晴らしい建物をつくる技術や体を清潔にする習慣がなかった一方、女性は服作りや体を清潔にしながら暮らしていた一方で、戦う力がなかったのでおいしい肉を食べることが出来なかったという設定。
そして、ある時、思い立った〈老人〉が交流を図り、色々とすれ違いや試行錯誤を繰り返した結果、無事に共に暮らせる運びとなるという内容でした。
便利な道具が発展していく過程で、男女での特技の違いの偏りはそれほどまでに重要だったということでしょう。
また、どうして違うのかを理解しようとしたお話とも分析できますね。特徴としては男女に明確な優劣をつけていないという点かもしれません。
このお話は男女で括っているため、戦うことが好きでない男や服作りが得意でない女は肩身の狭い想いをしそうな気もします。
けれど、今でも通用するポイントは何処かというと、得意なことを活かしあいながら、一緒に暮らす喜びを見つけるという部分かなと感じました。
それは別に男らしさや女らしさであってもいいし、ジェンダーの枠組みから外れた自分にしかできないこと、向いていることであってもいい。
『アメリカ先住民の神話伝説』(R.アードス、A.オルティス編 松浦俊輔、西脇和子、岡崎晴美ほか訳 1997 青土社)
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