第19回 治療薬としてのペヨーテとそれを祀る信仰の起源を語るお話『〈祖父なるペヨーテ〉がインディアンのもとへやってきたいきさつ‐ブルーレ・スー族』
ペヨーテというのは、アメリカ南西部からメキシコ中部を原産とする棘なしの小さなサボテンのことです。
ナワトル語で青虫を意味するペヨトルが語源だそうで、メスカリンやアルカロイドといった成分を含んでいるため、アメリカ先住民たちには治療薬としても使われていたとのこと。
幻覚などの精神作用を引き起こすため、儀式的な意味合いと強く結びついていたようですね。
今回のお話では、ペヨーテが人々のもとへやってきた経緯と、ペヨーテによって起こされた不思議な出来事について語られています。
さまざまな成分が含まれ、かつ精神作用以外はさほど副作用もなかったというペヨーテは万能薬として親しまれていたようで、その力を信じる人々に崇拝されていたようです。
そんなペヨーテですが、人々が病に伏したときにある老婆と孫娘によってもたらされ、広まったということが語られていました。
ただし、ある時から白人のディーラーがペヨーテを乱獲し、高値でインディアンチャーチなどに売りつけるという問題が発生したようです。
こうしたディーラーたちはそれまで先住民たちが護ってきたルール(再び生えてくるように工夫すること)もせず、さらに成長も遅かったため、ペヨーテの数は減少傾向にあるそうです。
その他、ペヨーテにまつわる歴史や現状はネット上でも色々と散見できましたが、そちらについてはちゃんとした資料を確かめた際にまとめてみようと思います。
ともかく、ペヨーテは幻覚剤のイメージが強く、アメリカでは何度も規制がかかったりもしたそうで、現在は先住民の宗教的意味合いでのみ使用していいことになっているようです。
ペヨーテが含んでいるメスカリンですが、日本でも麻薬に指定されています。
薬物ダメ絶対は現代日本人として暮らす上で基本ですが、それはそうと創作物や過去の人々の暮らしにおける薬物と人間の関係については興味を引かれるものがあります。
中でもペヨーテは治療薬として親しまれ、崇拝されていたところが面白いですよね。その規制を巡る経緯も機会があれば調べてみようと思います。
『アメリカ先住民の神話伝説』(R.アードス、A.オルティス編 松浦俊輔、西脇和子、岡崎晴美ほか訳 1997 青土社)
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