2020.02.10 16:00第21回 死生観がちょっと面白い『善と悪の双子‐ユマ族』選民思想というと真っ先に思い出すのがユダヤ教。けれど、代表的というだけで人間全体の思想の何処かには選民思想やそれに通ずる価値観が眠っているように感じることがあります。あらゆる差別の元凶や正体も、もしかしたらここに眠っているのかなと感じたりもしました。ただし、差別される側と差別する側は限定的ではないというのは、たぶん多くの人が気づいているこ...
2020.02.09 15:00第20回 失敗を経て人は少し成長する『ヴィジョン・クエスト‐ブルーレ・スー族』ヴィジョン・クエストというのは、ひと言で述べると苦行のようなものです。ヴィジョン・ピットと呼ばれる穴の中で四日間過ごし、飲まず食わずで一人きりでこもり、精霊のお告げを受けるという儀式で、苦しみの果てに何かしらの報いがあるものとされているようです。しかし、この内容はちょっと違います。ある若者が自分が特別だと信じてヴィジョン・クエストに挑戦す...
2020.02.08 15:00第19回 治療薬としてのペヨーテとそれを祀る信仰の起源を語るお話『〈祖父なるペヨーテ〉がインディアンのもとへやってきたいきさつ‐ブルーレ・スー族』ペヨーテというのは、アメリカ南西部からメキシコ中部を原産とする棘なしの小さなサボテンのことです。ナワトル語で青虫を意味するペヨトルが語源だそうで、メスカリンやアルカロイドといった成分を含んでいるため、アメリカ先住民たちには治療薬としても使われていたとのこと。幻覚などの精神作用を引き起こすため、儀式的な意味合いと強く結びついていたようですね...
2020.02.07 15:00第18回 煙草を人々に広めるという話『聖なる草‐ブラックフット族』現代でこそその有害さが啓蒙され、分煙や禁煙の流れが強まっていますが、アメリカ先住民たちにとってタバコというものは嗜好品ではなく聖なるものでした。私なんかは子どもの頃より喘息なのでタバコの煙が強いのは困るのですが、タバコを巡るひとびとの動きや信仰などは興味深いものがあります。このお話では、四人の不思議な力を持った兄弟たちが独占していたタバコ...
2020.02.06 15:00第17回 塩を食べるようになった経緯『〈塩女〉が食べ物を拒まれる‐コチティ族』今回は食に関するお話でした。塩といえば、料理に欠かせないという人も多いでしょうね。健康上はほんのちょっとで良いそうなのですが、気を抜くとついつい摂りすぎてしまうという人もいそう。それだけ、人々は塩を求めてきたわけですが、アメリカ先住民にとっても同じだったようです。その内容は、現代の人が読むとなかなかシュールかもしれません。ただ、神話らしい...
2020.02.05 15:00第16回 アメリカ先住民たちにとっての馬という存在~『孤児の男の子とエルク・ドッグ‐ブラックフット族』エルク・ドッグというのは、馬のことらしいです。シートン動物記を幼い頃に読んだ印象が中途半端に残っていたためか、野生馬といえばアメリカ、アメリカといえば野生馬っていうイメージがすっかりあったのですが、もともとアメリカには馬はおらず、16世紀半ばにスペイン人たちが持ち込んで来たそうです。その後、先住民たちにも馬は渡り、すっかり暮らしの支えとな...
2020.02.04 15:00第15回 スー族に伝わる聖女伝説『白いバッファローの女‐ブルーレ・スー族』白いバッファローの女というと、アメリカ先住民でわりと有名な伝説のようです。最初にアメリカ先住民の伝説を調べた時に目についた名前でしたが、その中身もまたとても神秘的な存在であることが分かりました。ちなみに、書籍によればスー族は戦士の部族であるため、やや男尊女卑なところがあるようです。しかし、白いバッファローの女はそんなスー族の中でも最も重要...
2020.02.03 15:00第14回 積年の恨みと誇りを感じるお話『よく焼けた人間‐ピマ族』アメリカ建国の歴史について書かれた資料を読み漁っていると、避けて通れないのがヨーロッパ人たちによるアメリカ先住民たちへの仕打ちの記録です。長らく英雄として語られてきた冒険家や革命家たちも、今の価値観で見れば恐ろしいまでの差別的思想で新天地を支配していったことが分かり、人間の恐ろしさを感じるものでした。そんな長年の不満は当然たまるもので、白...
2020.02.02 15:00第13回 得意不得意を補い合う関係『男と女が一緒になったいきさつ‐ブラッド・ピーガン族』男女の違いというものは、2020年の現在でもたびたび注目されるテーマだと思います。何事にもイレギュラー的な存在はいるもので、自分がたまたまそのイレギュラーの枠に入ってしまったときの心細さはとても大きなものだったりしますよね、この何とも言えない苦しみは、男女問わずどちらも抱くことでしょう。それはともかく、古来の人々は今よりもさらにジェンダー...
2020.02.02 02:40『世界史リブレット91 アメリカ史のなかの人種』山田史郎(2006年 山川出版社)アメリカの歴史といえば頭に浮かぶのが人種差別に関するあれこれ。この小冊子(リブレット)は、安価ながらそんなアメリカの差別の歴史が淡々と綴られており、とても参考になりました。現代アメリカ人の中でも白人至上主義の思想が残っていたりするようですが、そういった人々の中にもよくよくチェックしてみると、黒人やアメリカ先住民の血が確認できることがあると...
2020.02.02 02:19『メディスン・カード』ジェイミー・サムズ&デイビット・カーソン[訳:小林加奈子](2001 VOICE)アメリカ先住民の神話伝説を読む前に、占いの道具として入手していたのがこの書籍。付録されたカードがメインですが、その解説書の中には、アメリカ先住民たちの教えや哲学がかなり詰まっていて、理解するのにはちょっと時間がかかりました。しかし、『Berry』を今の形にしようと思ったきっかけの書籍でもあるため、占いに興味ある人やアメリカ先住民に興味があ...
2020.02.02 02:06『一冊でわかるアメリカ史』関眞興(2019 河出書房新社)前回紹介した『世界史劇場』と同じく、アメリカ史を分かりやすく解説した書籍です。『世界史劇場』ほどの分かりやすさはありませんが、アメリカという国の成り立ちのなかで、どういったことが起き、どういったまとまり方をしたのか、その違いなどがもっと詳細に、かつ分かりやすく解説されています。『世界史劇場』で端折られた情報や、国の成り立ちの中で築かれた精...